2020年夏 ふくしま共同診療所ニュースレター  編集部たより

県民健康調査甲状腺検査の現状と問題点
         
5月25日に第38回県民健康調査検討委員会が、6月15日には第15回甲状腺検査評価部会(WEB会議方式)が行なわれました。今回、甲状腺検査3巡目の最終結果が報告され、甲状腺がん疑いは新たに4人(3巡目1人、節目3人)増え、合計241人となりました。196人が手術を受け、195人が甲状腺がんと確定しています(良性結節1人含む)。また甲状腺検査後に、甲状腺しこり等(結節性病変)の保険診療を受けている人を対象にした甲状腺検査サポート事業の支援金交付は、2015年7月開始から314人、交付件数は延べ499件と報告されました。毎年、約100件が交付されていることになります。
 
◆リスクが高いグループのほうが「集計外」になるデタラメ
二次検査時に、穿刺吸引細胞診検査を受け「がん疑い」と診断された人が、検討委員会で報告される人数にカウントされる一方で、二次検査で「経過観察(保険診療)」とされた後にがん疑いと診断された場合は、集計外とされています。前回の検査で、「異常なし、経過観察の必要なし」とされた子どもが、2年後の検査で「がん疑い」と診断された場合はカウントされ、よりリスクが高いとされるB判定で経過観察となっていた子どもは、その後「がん疑い」と診断されてもカウントされないという信じがたいことが何年にもわたって行なわれています。経過観察はすでに4000人を超えています。
第27回検討委員会(2017.6.5開催)から、この集計外の存在については、「データに基づき検討しなければ、議論が空論になる。事実が分からなければ何のために検査しているかわからない」と、大きな批判を浴びてきました。環境省の梅田珠実環境保健部長(当時)は、「保険診療に移行すると別ルートとして扱われるというのは由々しき事態。この検査の信頼性に関わる」と発言していました。しかし、福島県と県立医大は、同じ検査を受けていながら、よりリスクの高い集団の検査結果のほうが集計外とされてしまう検査体制をいまだに見直すことなく放置しています。がん疑い人数の隠ぺいを図るために意図的にやっていると言わざるをえません。
 
◆現場の執刀医が「過剰診断はない」と裁判で証言
 県立医大で多くの小児甲状腺がんの手術を執刀している鈴木眞一教授は、今年2月3日、県立医大主催の国際シンポジウムにおいて、180例の手術症例について講演しました。いずれも県立医大のもとで実施された手術症例であり、県民健康調査の甲状腺検査からの紹介が161例、ほか集計外が19例と報告しています。
2012年から2018年末までのデータのうち、術後の診断におけるリンパ節転移が138例(72%)、甲状腺外浸潤は84例(47%)と高率であり、遠隔転移は先行検査の3例(2%)のみであることを報告しました。その中で6%が再手術を受けていることも明らかにしました。ベラルーシと福島の比較を行い、平均腫瘍径、リンパ節転移、甲状腺外浸潤、肺転移について非常に似通っているとも報告しています。
鈴木教授は、同2月14日には、「子ども脱被ばく裁判」で証人尋問を受け、「自分が執刀したすべての手術において手術が必要だった」「検査は今の規模で継続すべき」と証言しています。また、「いわき市や会津若松市の病院でも甲状腺手術を行っているが、検討委員会発表の人数には含まれていない」と、新たな集計外の存在を明らかにしました。
 
◆学校検査の縮小をさせてはならない
2012年10月、矢ケ崎克馬琉球大学名誉教授らのグループが、実際に福島県内各地の空間線量を独自に測定し、「モニタリングポストの線量が、平均して真の値の50%程度しか示していなかった。福島の住民の被ばく線量よりかなり低い放射線量が国の公式な記録として蓄積され続けている」と告発しています。
甲状腺検査は、今年度から5巡目の検査が始まる予定でしたが、コロナ情勢により1学期の学校検査は中止されました。県は、検査を希望する場合、一般会場や医療機関を案内しているが今のところ問合せはないとしています。しかし、毎回実態を正確に反映していない検査データが発表され、さらに今年度からは、恣意的で根拠にとぼしい「検査のデメリット」を並べ立てた「お知らせ」文が送付されています。「県と県立医大は事実上、検査を受診しないよう誘導している」という批判の声も増えています。
東日本大震災から9年が過ぎても福島県民は福島第一原発事故の重荷を背負いつづけています。辛い思いをしながらも検査を受けるのは、子どもたちの命と未来を守るためです。チェルノブイリでは34年経った今も検査を続けています。そしていまも、事故の影響とみられる甲状腺がんが見つかっています。
福島県と県立医大の県民の安全に対する姿勢を問い、子どもを含めた私たちの健康と安全を守るため、そして国と東電の責任を追及し、真実を追求していくためにも検査を続けていくこと、声をあげ続けることが必要です。
8月31日に予定されている第39回県民健康調査検討委員会においては、学校における甲状腺検査の縮小を狙った提案がなされると一部マスコミが報道しています。事実だとすればとんでもないことです。
30万人規模の検査を2年ごとに行うためには、今のところ学校検査に代わるものはありません。甲状腺がん・疑いは、明らかになっているだけでも250人を超え多発しています。検査を縮小するのではなく、学校検査に限らず、すべての県民に対する検査の拡大を求めていきましょう。
                                   (2020年8月25日)
    
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福島県内で小児甲状腺がん多発

院長 松江 寛人

 

<福島の子ども27名甲状腺がん疑い>

 県民健康管理調査の検討委員会は、平成23年と24年度の18歳以下の甲状腺検査で甲状腺がんが確定した小児が12名、およびがんの疑いが15名であることを公表しました。その上で「現時点で福島の甲状腺がんは原発事故による放射線の影響とは考えられない」と述べています。
 その根拠として、チェルノブイリでの甲状腺がん発生は原発事故後4~5年であったことをあげ、「福島において原発事故後2年で甲状腺がんは発生するはずがなく事故以前にすでにがんがあった」と説明しています。
 しかし、チェルノブイリでは事故が起きた1986年の2年後から甲状腺がんは発生し、4~5年後あたりから急速に増加しています。原発事故の4~5年後に甲状腺がんが発生したのではなく、1990年以前にはチェルノブイリに現在用いられている超音波診断装置がなく、甲状腺がんの発見診断が遅れたと考えられます。

 

<被ばく線量との相関を明白にすべき>

 県民健康管理調査の検討委員会の為すべきことは、放射線被ばくの影響を否定することではなく、小児甲状腺がんの多発に対して県民の健康を守るための対策に全力を挙げることです。その第一歩は、小児甲状腺がんが異常多発していることを全県民に広く告知し、健康を守る検診体制を講ずることではないでしょうか。
 放射線被ばくによる健康障害は多種多様にわたり、数年後、数十年後に及びます。したがってすべての医師や医療機関だけでなく、県民の参加を得て、希望と意向がつよく反映される健康管理体制の抜本的改革が必要です。被ばく線量と健康管理の「調査結果」との相関を明白にすべきです。

 ふくしま共同診療所は誠心誠意の診療を行っております。そして被ばくによる健康障害の隠ぺいを許さず、真実を明らかにするために活動しています。
 県民の皆様、検査、診療、様々な相談に、ご来院ください。

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